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世界平和とお金のない世界 知恵の輪

世界平和とお金のない世界 知恵の輪

「爺ちゃんとミノル」の会話(4)

「爺ちゃんとミノル」の会話(1)

「爺ちゃんとミノル」の会話(2)

「爺ちゃんとミノル」の会話(3)


(101)
「♪♪♪♪♪」
「はい、もしもし。お~ミノルか」
「あ!お爺ちゃん?」
「そうじゃ。どうした?」
「きょうはお休みだから部屋からかけてるの」
「そっか~」
「このあいだの続きが気になってね(笑)」
「話してもええけど、手が疲れるど」
 
 
「今はスマホでしょ?」
「そうじゃけど」
「じゃあスピーカーで通話というのを指でタッチしてみて」
「わかった。お~聞こえるど」
「これならスマホを置いたままでお話できるよ」
「よしわかった。何から話そうかのう」
「木や草とお話ししたって言ってたでしょ?」
「そうじゃったのう。そこへたどり着くまでの話じゃが、ちょっと長いど(笑)」
 
 
「お爺ちゃんのお話は長いけど楽しいよ(笑)」
「そっか~(笑)じゃあ始めるど。それは年下の友だちとの会話からじゃが」
「年下の友だちってこのあいだ言ってた人のこと?」
「そうじゃ。その友だちがぬいぐるみとお話ししたって言うたんじゃ」
「ぬいぐるみとお話したの?そんなバカな(笑)」
 
 
 
(102)
「そうじゃろう?ぬいぐるみと話をするって幼児くらいのもんじゃろう(笑)」
「僕は子供だけどそんなこと信じられないよ(笑)」
「じゃがのう、その友だちは真剣なんじゃ」
「冗談じゃないってこと?」
「そうなんじゃ、なんでそんなことが出来たんか気になってのう。詳しゅう聞いてみたんじゃ」
「それで?」
 
 
「何やら自己啓発セミナーを受けたんじゃそうな」
「じこけいはつって?」
「自分の能力を上げるための研修みたいなもんかのう」
「へ~どんなことをするんだろう?」
「友だちが言うには自分の中の自分を見つめるって言うちょったのう」
「自分の中の自分って?自分の中には自分しか居ないでしょ?」
「そうじゃがのう。いろんな自分があるんじゃて」
 
 
「へ~。わかったようなわからないような・・・でもよくわらない(笑)」
「それでのう。興味があったから受けてみたんじゃ」
「そのなんちゃらセミナーっていうのを?」
「そうなんじゃ」
 
 
 
(103)
「なんだか怖いような楽しいような(笑)それでどんなことをしたの?」
「何度かわけてやったんじゃがの。最初は他人と向い合せで互いの自分を引き出すんじゃ」
「自己紹介みたいなもの?」
「それもあるけどの。自分が考えている思考という自分を出す努力をするんじゃ」
「どうしてそんなことをするの?」
 
 
「頭で考える思考というものを見つめてみるようなことじゃのう」
「自分で自分を確認するってことなの?」
「その表現も当たってるかも知れんのう」
「それでどんな自分があったの?」
「父親が嫌いとか母親が嫌いとか、兄貴が嫌いとか、良い人に見られたいとか、人に嫌われたくないとかのう」
「それって誰にでもあるんじゃないの?」
 
 
「そうなんじゃ。他にもいっぱいあるけどの。それを知ることとそれを誰にでも話せるようにするんじゃ」
「え~そんなこと誰にでも言えないよ」
「そこなんじゃ。自分の中の秘密にしたい自分をさらけ出すことが第一歩なんじゃ」
「なんだか辛そう」
 
 
 
(104)
「自分の中にはいろんな自分がおるじゃろう?」
「それを聞いたらなんとなくわかってきたよ」
「そのすべてが思考の自分なんじゃ。それを知ったら次にやることがあるんじゃ」
「まだ続きがあるの?」
「思考の自分と互いに影響を与えちょる感情の自分なんじゃ」
「感情の自分って?」
 
 
「例えばじゃのう。兄弟喧嘩で叩きあったとしよう。相手が3回叩いて自分が2回しか叩かんかったら1回分少ないじゃろう?」
「うん」
「その時お母さんからケンカはやめなさいと言われてやめたら1回分叩いてないから悔しい気分になるじゃろう?」
「うん。その気持わかる(笑)」
「人生の中にもそういう我慢してきた感情っちゅうもんが溜まっちょるんじゃ」
 
 
「何となくわかるよ。頭では納得してるけど悔しい感情が残ってるってことなんだね」
「そうなんじゃ。そういう感情をすべて吐き出すことで過去をきれいに掃除するんじゃ」
「なんとなくわかったような気がする」
 
 
 
(105)
「そういうのを鎮圧の開放って言うんじゃがの何度もわけてやったから一ヶ月以上かかったかのう」
「そんなにやったの?」
「そうなんじゃ。自分の中の自分を見つめることは簡単じゃがそれらを認めて吐き出すことは難しいのう」
「辛そう。それでどうなったの?」
 
 
「思考の自分も感情の自分も体の中から出てしまうとどうなるか?」
「そんなのわかんないよ(笑)・・・・あ!思い出したエヴァンゲリオンの話を」
「よう思い出したのう(笑)」
「人間の体の中に命が入ってくるって(笑)」
「そういう感じになるんじゃ」
「その命は誰?」
「その命が本当の自分なんじゃ」
 
 
「本当の自分が体の自分に入って生きているってことなの?」
「それを少しだけ経験したんじゃ」
「少しでもすごいことだよね?」
「それを経験して何か変化があったの?」
 
 
「前置きが長かったけどの。これからなんじゃ。例のぬいぐるみとお話したっちゅうのは(笑)」
「お爺ちゃんもぬいぐるみとお話したの?」
 
 
 
(106)
「ぬいぐるみじゃないど。同じセミナーを数十人が受けたんじゃが、みんなが公園でおのおの弁当を食べようということで公園に行ったんじゃ」
「そこで何かあったの?」
「木のそばで座っても良い?って心の中で木に言ったんじゃ」
「そしたら?」
「うん良いよって聞こえたんじゃ」
 
 
「木は喋らないでしょう(笑)」
「耳で聞こえるんじゃのうて、心の中で聞こえたんじゃ。その時誰か人がおるんか振り向いたど(笑)」
「それで?」
「人は誰もおらんかった」
「へ~。やっぱり木が喋ったんだ」
「そのあとご飯を食べながら下を見たらアリが歩きょうたから草に向かってくすぐったいことはないの?って心の中で聞いたんじゃ」
「そしたら?」
 
 
「僕たちはあるがままに生きるしかないんだよって聞こえたんじゃ」
「やっぱり心の中だよね」
「そうなんじゃが、その時は文章が見えた気がした。それと気持ちが伝わってきたど」
「へ~。想像もつかないよ(笑)」
 
 
 
(107)   
「食事の時間が終わって仲間がゾロゾロ歩いて帰る途中おもしろいことがあったど」
「何があったの?」
「他の仲間が振り向いたんじゃ。どうしたの?って聞くと。木の上を指差してあの小鳥がこんにちはって言ったんだよって」
「へ~良いな~僕も小鳥と喋ってみたい(笑)」
 
 
「セミナーが終わって互いに地元へ帰ってからも不思議なことがあったのう」
「どんなことがあったの?」
「ある友だちはテレビのリモコンを使わんでもテレビに向かって指を向けて電源を入れたり切ったり出来たんじゃて」
「へ~そんなことって。お爺ちゃんも出来たの?」
「残念・・・お爺ちゃんはダメ~(笑)」
「それは残念だったね(笑)」
 
 
「でものう。楽しい経験もしたど」
「どんな経験?」
「ある年末の忘年会の寒い夜の話じゃ。忘年会が終わってお婆ちゃんに車で迎えに来てもらう時じゃ」
「お婆ちゃんも運転してたんだね」
「そうじゃ。お婆ちゃんが来るまで公園の木に向かって寒いから温めてって心の中でお願いして木に抱きついたんじゃ」
 
 
 
(108)
「まさか。木が暖かくなったの?」
「いや、そうじゃのうて全然寒うなかったんじゃ」
「え~寒くなかったの?」
「そうなんじゃ。木が助けてくれたんじゃ」
「このあいだお爺ちゃんのお母さんに助けてもらった話と同じじゃないか」
「そう言われりゃあそうじゃのう」
 
 
「なんだかみんなつながっているって気がした」
「そうじゃのう」
「で。気になったんだけど本当の自分って何だろう?」
「お爺ちゃんにもわからん。わからんけど想像はつく」
「どんな想像?」
「自分は宇宙だと言うことじゃ」    
「自分が宇宙なの?」
「そうじゃ」
「前澤さんが宇宙へ行くってあったけど。あの宇宙のことだよね?」
「そうなんじゃ」
「意味がよくわからないんだけど(笑)」
「じゃあ例え話をするど?」
「わかった」
 
 
「ミノルの左手は何という名前じゃ?」
「僕の左手の名前?」
「そうじゃ」
「僕の左手の名前は・・・ミノルの左手・・・・?」
「ミノルの心臓は何という名前か?」
 
 
 
(109)
「僕の心臓は・・・ミノルの心臓」
「わかったか?」
「わからないよ(笑)」
 
 
「じゃあもう一つ例え話じゃ。桜の木がもし喋ることが出来ると思ってみ」
「桜の木とお話が出来ると思えばいいの?」
「そうじゃ。枝を指差して名前を聞いてみ?」
「僕は桜の枝だよって言うと思う」
「じゃあ葉っぱを指差して名前を聞いてみ?」
「僕は桜の葉っぱだよって」
 
 
「何かわかるか?」
「桜の木の枝も葉っぱも桜なんだね」
「そうじゃ。じゃあさっきのミノルの体もわかるじゃろう」
「僕の心臓も左手も僕なんだ」
「それで。宇宙を考えてみ」
「あ~そういうことか。宇宙の中にあるものは全部宇宙なんだ。わかったよ」
 
 
「自分は宇宙ですって言ってもええじゃろうが?」
「そうだよね。僕も宇宙なんだ」
「それを頭で考えるんじゃのうて感じたんじゃ」
「それで木や草とお話できたんだね」
「そうなんじゃ。木や草も宇宙の一部じゃし自分も宇宙の一部ということがわかると波長が合うんじゃろうのう」

 
 
(110)
「あのね。気になったからパソコンでチョット検索してみたの」
「何を?」
「自分を見るっていろいろ見ていると内観というのがあってね」
「内観か~」
「知ってるの?」
 
 
「お爺ちゃんも聞いたことがあるど。心の病がある人からの」
「お爺ちゃんはどう思ったの?」
「自分の中の自分を見ることは同じなんじゃがの。チョット違うんじゃ。チョットじゃないかも知れんけど(笑)」
「どんなふうに違うの?」
「聞いた話によると、今の自分が過去の自分を見つめて癒やしてあげるって感じじゃろう」
「大人になった自分が子供の自分に向かって大丈夫だよって教えてあげる感じかな~?」
「そんな感じじゃろうと思ったの~」
 
 
「お爺ちゃんが体験したのは本当の自分が出てきたよね」
「そうなんじゃ。過去の自分を全部体の中から取り出して空っぽにするって感じじゃのう」
「空っぽにするって内観じゃあ出来ないよね」
「そうなんじゃ。じゃから肉体に入る前の本当の自分が目を覚ますって感じじゃろうのう」
 
 
 
(111)
「でも。本当の自分だけじゃあ生活は出来ないんでしょ?」
「体は思考の自分と感情の自分が動かしちょるからのう」
「じゃあ、また普通の生活に戻るの?」
「そりゃあ仕方がないからのう(笑)」
「それで自己啓発って意味があるの?」
「そこが問題じゃのう(笑)」
 
 
「どうすれば良いんだろう?」
「それはのう。本当の自分が何で人間の体に入って生まれてきたんか?を考えて生活することかもしれんのう」
「生まれてきた目的を知るってこと?」
「そうなんじゃ」
「生まれてきた目的なんてあるの?」
「もう一回さっきの話をするど?ミノルの左手は何のためにあるかわかるか?」
「僕が生きていくために必要だから」
 
 
「じゃあもう一つ聞くど。ミノルの体の細胞たちは何のために生まれてきたか?」
「難しいな~?」
「ミノルの細胞がミノルにこんな質問をしたらどう答えるか?」
「どんな質問?」
「ミノルの体の細胞たちが僕たちはどうして生まれてきたの?って質問したらどう答える?」
 
 
 
(112)
「僕のためにいつまでも元気でいてねって言う」
「そうじゃろう。宇宙の一部であるミノルは宇宙のために存在しちょると同じなんじゃ」
「そういうことか~♪わかったよ。でも簡単なようで難しいんだね(笑)」
 
 
「頭でわかることはすぐ忘れるけどの。本当の自分が喜んでくれることは忘れんのんじゃ」
「本当の自分が喜んでくれることを考えるようにすれば良いんだね」
「そうじゃのう。それで思い出したんじゃがやりがいと生きがいという話じゃ」
「やりがいと生きがい?」
「やりがいっちゅうのは見返りを求めるが生きがいは見返りを求めんのんじゃ」
「ちょっと難しいよ」
 
 
「例えばじゃのう。ミノルがおもちゃが欲しゅうてお母さんにお願いするとしたらどうする?」
「そうだな~、お手伝いするからおもちゃを買ってって言うかな~」
「お手伝いをしてお駄賃のお金をもらっておもちゃを買いに行くじゃろう」
「うん」
 
 
 
(113)
「お手伝いをやる時お金がもらえるっちゅう見返りを求めちょるじゃろうが」
「そっか~。自分が頑張ったからもらえることなんだね?」
「ご褒美のお駄賃がもらえんかったらどうする?」
「なんだかやりたくないな~」
「それが今の社会なんじゃ」
「どういうこと?」
 
 
「お金がもらえんかったら働きとうないっちゅうことなんじゃ」
「そっか~。それともう一つの生きがいって何?」
「生きがいっちゅうのはのう。見返りが無うても働くっちゅうことなんじゃ」
「どうしてそういうことが出来るの?」
「まだわからんか?」
「わかんないよ」
「もう一回聞くど?」
「うん」
 
 
「お前の体の細胞たちはキチンと働きょうるか?」
「うん。働いていると思う。あ~そういうことか♪」
「わかったか?」
「僕の体の細胞たちはお金がなくても働いているんだよ」
「それが自然と言うもんじゃ」
「でも。人間社会って自然とは違うよ?」
 
 
 
(114)
「人間社会は前にも言うたと思うけど交換システムなんじゃ。お金は物々交換を便利にした道具なんじゃ」
「お金がないとおもちゃも買えないんだもんね。お金を儲けるためにいろんなことをしたって言ってたよね」
「そうなんじゃ。これじゃから自然を壊してしもうたんじゃ」
「じゃあどうすれば良いんだろう?」
「前にも言うたじゃろう。お金のない世界にせんにゃあいけんって」
 
 
「宇宙飛行士が地球に帰って農業やったり牧師さんになったりって聞いたことがあるけど」
「そう言ゃあそういう人がおったのう」
「宇宙が自分だって実感したからなのかな~?」
「そうじゃのう。細胞が体の一部じゃし、自然界じゃあお金のやり取りなんかせんしのう」
 
 
「人間だけお金のやり取りで生活しているんだもんね」
「ミノルの体の細胞たちがお金のやり取りを始めたらどうなるかのう(笑)」
「それは困るよ(笑)」
「自然の中じゃあ無償の交換システムがあるんじゃろうのう」
 
 
 
(115)
「でも、人間社会はお金の要る社会だからどうすれば良いんだろう?」
「生きていくためにゃあお金は要るからのう。まずは働いてお金を稼ぐことじゃのう」
「何だか辛いね(笑)」
「でものう。気持ちの持ち方やら考え方はしっかり持っちょかんにゃあいけんど」
「どういうこと?」
 
 
「やりがいと生きがいを持っちょくことじゃのう」
「両方要るの?」
「ミノルの体が喜ぶことも必要じゃが本当の自分が喜ぶことも必要じゃからのう」
「僕の体が喜ぶってさっき言っていた思考の自分と感情の自分のことだよね?」
「そうじゃ。食べることも寝ることも学校で勉強することも大切じゃが褒めてもらったり何か頑張って達成感があったほうが楽しいじゃろう」
 
 
「うん。イヤなことでも頑張って褒めてもらえると嬉しいよ。また頑張ろうっていう気持ちになれるから」
「それが成長につながるんじゃのう。それで本当の自分が喜ぶんじゃ」
「僕の成長で本当の自分が喜ぶの?」
 
 
 
(116)
「そうなんじゃ。お金儲けで儲かると思考の自分が喜ぶけどの。ミノルの成長で本当の自分が喜ぶんじゃ」
「そっか~。だからボランティア活動をしたほうが良いって先生が言っていたんだ」
「ほう。先生はええこと言うのう(笑)」
「それなら、いっそのことボランティア社会になったら良いのにね(笑)」
「生活にお金が要らんにゃあええんじゃがのう」
 
 
「生活ってなんだろうね?」
「生活か~。生きることと活かすことじゃろう(笑)」
「なにそれ?」
「人間は生きることも大切じゃが、自分の体をみんなのために活かすことも大切なんじゃ」
「エヴァンゲリオンみたいに?(笑)」
 
 
「そうじゃのう(笑)自分が誰かの役に立つことが生きる喜びやら張り合いがあるっちゅうもんじゃろう」
「それで本当の自分が喜ぶんだね?」
「本当の自分は損得勘定じゃのうて尊徳感情でものごとを考えるからのう」
「そんとくかんじょうじゃなくてそんとくかんじょうで考えるの?」
「そうなんじゃ」
 
 
 
(117)
「それ変じゃない?」
「損得勘定は自分が得になることでものごとを考えるんじゃ」
「もう一つのそんとくかんじょうは?」
「二宮尊徳の尊徳なんじゃがの、世のため人のために生きちょった人じゃ」
「それは習ったことがあるよ」
 
 
「その人の尊徳と感情を組み合わせた言葉なんじゃ」
「二宮尊徳のような気持ちでものごとを考えたほうが良いってことなんだね?」
「そういうこと(笑)」
「都会の中では難しいね、どうしても損得勘定で考えちゃうよ(笑)」
「資本主義っちゅうもんは利益の上がらんことは必要なことでもやらんし利益が上がることはやっちゃあいけんことでもやってしまうからのう」
「それで自然破壊が進んだんだね」
 
 
「山の中は荒れ放題じゃからのう。昔は木を売って儲けようっちゅうことで植林をいっぱいしたんじゃがのう」
「いまはどうなってるの?」
「木の手入れをするにもお金はかかるし売っても儲からんから放ったらかしなんじゃ」
 
 
 
(118)
「本当に困ったもんだね」
「お金は便利な道具じゃがお金がないと社会が機能せんっちゅうことが不便な社会なんじゃ」
「僕ももっともっと勉強しなくっちゃいけないね」
「そうじゃのう、さっきの二宮尊徳のような真似は出来んけどミノルがやれそうなことはやったほうがええのう」
「何でも経験したほうが良いって言ってたよね?」
「そうなんじゃ。百見は一体験に如かずじゃからのう」
 
 
「百聞は一見に如かずじゃないの?」
「そりゃあ人から百回聞くよりゃあ自分で一回見たほうがようわかるっちゅうことじゃ」
「それと違うの?」
「なんぼ百回見ても一回自分が体験したほうがようわかるっちゅうことなんじゃ」
「何となくわかるけど・・・」
「例えばじゃのうコーヒーを飲むマグカップがあるじゃろう」
「うん」
 
 
 
(119)
「それをマグカップを知らん人にスマホで写真を撮って見せるとしよう」
「うん」
「相手がそれを見てあ~こういう形をしているんですね。と言ったとしよう」
「うん」
「ところが、たまたま他の人がミノルのマグカップの写真を撮ってさっきの人に見せた時不思議に思うど」
「どうして?」
「ミノルが撮った写真はマグカップに取っ手が付いちょるが他の人の写真には取っ手が付いちょらんマグカップの写真じゃ」
「でも同じマグカップだよ」
 
 
「見る角度で取っ手があるのか取っ手がないのかわからんじゃろうが」
「あ~同じ写真を何回見ても見る角度が違えば本当の姿はわからないってことなんだね?」
「そうなんじゃ。じゃから見るだけじゃのうて自分の手に持つこともコーヒーを入れて飲んでみることも大切なんじゃ」
「わかったよ。聞くだけでも見るだけでもじゃなくて体験が一番良いってことなんだね(笑)」
「そうなんじゃ。いじめの問題も似ちょるのう」
「どうして?」
 
 
 
(120)
「いじめられたらいじめられる人の気持ちがわかるじゃろう」
「そうだよね。いじめの問題は学校でも話し合いはいっぱいやったよ」
「本当の自分がわかりゃあいじめもなくなるんじゃがのう」
「細胞たちのお話みたいに?」
「周りの人に親切にすりゃあ周りの人は親切にしてくれるど」
 
 
「そうだよね。お父さんもお母さんも人様に迷惑をかけてはいけませんってよく言われるよ」
「それは最低限大切なことなんじゃがの。お爺ちゃんはこういうふうに考えちょるんじゃ」
「どんなふうに?」
「人が喜ぶことをしようっちゅうことなんじゃ」
「人が喜ぶことをするの?」
「そうなんじゃ」
「なんだか面倒くさい(笑)」
 
 
「人に迷惑をかけとうないと思うちょったら何も出来んど」
「どうして?」
「バレンタインデーでチョコをプレゼントしたら嬉しいけどお返しが大変じゃろうが」
「でも、それは・・・・でも嬉しいけどな~」
「大人になりゃあ御中元やら御歳暮やら大変ど。お金はかかるし手間もかかるしのう」
 
 
 
(121)
「でも。それが人間関係を良くするって聞いたことがあるよ」
「それなら人が喜ぶことをしようでええんじゃないか?」
「プレゼントならお返しは要らないって言っておけば良いの?」
「そういうこっちゃ(笑)」
 
 
「大人っていろいろ考えるんだね(笑)」
「そうじゃのう。相手が迷惑するかもしれんと思うから消極的になるんかもしれんのう」
「だから積極的に人が喜ぶことをするほうが良いってことなんだね」
「そうなんじゃ。電車の中でマナーの悪い人がおったらみんなが注意するくらいの気持ちを持っちょったほうがええと思うど」
「それならいじめも無くなるかもしれないね」
 
 
「そうじゃのう。学ぶことは多いのう(笑)」
「学校の成績を上げる勉強だけじゃないんだね。大変だ(笑)」
「学ぶっちゅうのは真似ることと同じなんじゃ」
「あの、人のマネをするってこと?」
「そうじゃ。どねえな遊びでも知っちょる人の真似をして覚えるじゃろうが」
「そうだね(笑)」
 
 
 
(122)
「じゃから、学ぶっちゅうことは真似をすることから始まるんじゃ」
「だから教えてもらっているってことなんだね」
「そうなんじゃがの。教えてもらって身に付いたことを誰かに教えることはもっと学びになるど」
「教えてもらうより教えてあげるほうが学びになるの?」
「学校で算数の問題の解き方がわからん友だちに教えたことはあるか?」
 
 
「うん。あるよ」
「先生の教え方と同じじゃったか?」
「う~ん。少し違ったよ」
「ミノルの説明でわかってくれたか?」
「うん。わかった~って言ってくれたよ」
「そりゃあ立派じゃ」
「ありがとう(笑)」
 
 
「わかってもらうためにどうやって説明しょうかミノルが考えたんじゃろう?」
「うん。あ~そういうことか。問題の解き方を学ぶだけじゃないんだね」
「そうなんじゃ。解き方だけじゃのうて言葉の使い方やらわかりやすい表現やらいろんな知恵を働かせるんじゃ」
「そういうことか。それなら先生ってすごいよね」
 
 
 
(123)
「教え方も勉強せんにゃあいけんからのう」
「今度からしっかり聞くようにしよう(笑)」
「学ぶは真似るという話じゃったが、人生にも応用すると面白いど」
「どういうこと?」
 
 
「偉人を見て生き方やら考え方を学ぶっちゅうことじゃ」
「それって、図書室で偉人名鑑というのを見たことがあるよ。さっきの二宮尊徳の話と同じだよね?」
「そうそう。人の良い所を真似をすることはええことじゃがの。人に真似をされる人になる努力もあったほうがええど」
「なんだか難しいそうだけど。なんだかワクワクしそう(笑)前澤友作さんを思い出したよ(笑)」
 
 
「そうじゃのう(笑)いろんな経験をして楽しい人生を送ったほうがええのう」
「いろんな経験ってイヤなこともやったほうが良いの?」
「イヤなことでもけっこう好きになることはあるど。嫌いな食べ物でも好きになることもの」
「そういえばお爺ちゃんは農作業が好きだったの?」
「いや。若い頃は頭を使う仕事が多かったのう。力仕事は苦手じゃった(笑)」
 
 
 
(124)
「でも農作業は好きなんでしょ?」
「そう言やあ草刈りは苦手じゃったけど今は大好きじゃのう。ベテランになったど(笑)」
「さっき前澤友作さんの話で思い出したんだけどね」
「なんじゃ?」
「お金を配る話だよ」
「それがどうした?」
「お金って働いてもらうもんでしょ?」
「そうじゃのう。ミノルもお手伝いをやってお小遣いをもらようるからのう」
 
 
「前澤さんの場合お金を配るのはどうなんだろう?って(笑)」
「前澤さんの気持ちが純粋なんじゃろうのう」
「純粋?」
「そうじゃ。まだ心が汚れる前の心じゃろうのう」
「どういうこと?」
「ええか?歩き始めた頃の赤ちゃんを想像してみ」
「うん」
 
 
「赤ちゃんにおやつをあげたら手で握るじゃろう?」
「うん」
「しばらくして、頂戴って手を差し出したらどうすると思う?」
「わかんない(笑)どうなるの?」
「手に持っちょるおやつをはいってくれるど」
「いつもじゃないでしょう?」
「いつもじゃないけどのたいがいくれるど」
 
 
 
(125)
「お爺ちゃんの気のせいじゃないの?(笑)」
「そうかもしれんのう(笑)もらった時ありがとうと言うて喜ぶとまたくれるんじゃ」
「それって何となくわかるよ」
「そうか~?」
「うん。お父さんもお母さんも喜んでくれるとしたくなるんだよね」
「そっか~。お爺ちゃんが言いたかったのはそれなんじゃ」
「それって?」
 
 
「子供の頃は誰かが喜んでくれることをしたくなるんじゃがの。大人になると見返りがないとせんのんじゃ」
「さっき言っていた損得勘定だね(笑)」
「子供の頃は与えることで喜びを感じるが大人になると多くのものを得ることで喜びを感じるんじゃのう」
「人間の成長って何だろうね?(笑)」
「人間っちゅうのは成長すると得ることより与えることで喜びを感じるもんじゃ」
「ということは?」
「子供が成長すると大人になり、大人が成長すると子供になるっちゅうことじゃろう(笑)」
「肉体の成長と心の成長は違うんだね」
「そういうこっちゃ(笑)」
 
 
 
(126)
「そうすると前澤さんは成長して子供のような純粋な心に戻ったっていうことかな?」
「そうかもしれんし、元々純粋な心じゃったかもしれんのう」
 
 
「お父さんもお母さんも将来のためにお金を貯めておきなさいって言うよ」
「それがいけん訳じゃないんじゃけどのう。どうもシャンとせんのんじゃ」
「どうしてシャンとしないの?」
「自分さえ良けりゃあええのか?と思えることがあるんじゃ」
「どうしてそう思うの?」
「収入が無うて未来を悲観して自殺するニュースを見た時そう思ったんじゃ」
「そうだね。お金がなくて困ってる人もいっぱいいるしね」
「大食い大会の番組を見ちょる時も思ったど」
 
 
「どんなことを思ったの?」
「食べるものが無うて餓死する子供たちの前でそんな大食い大会の番組が作れるか?」
「そんな事できないよ」
「自分さえ良けりゃあええとは思うちょらんじゃろうが全体を見るとそう感じるんじゃ」
「本当の自分が悲しい思いをしてるんだね」
 
 
 
(127)
「そうなんじゃ。空気と同じようなもんじゃのう」
「どういうこと?」
「自分の周りの空気だけきれいにするんじゃのうて全体の空気をきれいにしたほうがええっちゅうことなんじゃ」
「あ~そういうことか」
「全体が良うなりゃあ自分も良うなるっちゅうことじゃのう」
「自分も全体の中にあるからなんだね?」
 
 
「そうなんじゃ。全体主義と個人主義っちゅうのがあるけどの」
「チョット待って全体主義とか個人主義って何?」
「全体主義っちゅうのはのう、全体のためにゃあ個人の自由を認めんっちゅうことで、個人主義っちゅうのは個人の権利や自由を尊重するっちゅうことなんじゃ」
「それなら個人を尊重した全体主義っていうのはどう?」
「それが一番ええことじゃのう(笑)」


「やっぱりお金の要る社会って世界平和は難しいと思う」
「そうじゃのう奪い合いやら騙し合いやら多いからのう」
「それはお金のない社会でもあるんじゃないの?」
「誰もが普通に生活が出来て本当の自分が楽しめる社会にすりゃあええと思うがのう(笑)」
 
 
 
(128)
「そうだね。お金があることが当たり前の社会だからこれを否定すると反発が起きるんだろうね」
「そうじゃのう。ミノルでもお金の要る社会が当たり前じゃと思っちょったんじゃからのう(笑)」
「これからどうすれば良いんだろう?」
「簡単な方法があるど」
「簡単な方法って?」
「それはの。未来の自分になるんじゃ」
「未来の自分?」
 
 
「未来のミノルはどんなミノルになっちょると思うか?」
「お金で困ることのない社会になって世界が平和になって楽しい生活をしてる・・・かな?(笑)」
「それでええんじゃ。その未来のミノルになってものごとを考えるんじゃ」
「どんなことを考えるの?」
「ミノルが望む世界がどのように実現したか?想像して見るんじゃ」
「なんだか変な感じ(笑)」
 
 
「歴史を習った事があるじゃろう?」
「うん」
「今のミノルが過去の歴史を見るように。未来のミノルが今から未来に起きることを見るって感じじゃ」
「未来を想像するってこと?」
 
 
 
(129)
「未来を想像するんじゃのうて、未来から過去である今からの未来を見るんじゃ」
「想像することと同じことじゃないか(笑)」
「やることは同じじゃけどの(笑)歴史を作っていくということなんじゃ」
「なんだか未来日記みたい(笑)」
 
 
「そうじゃのう(笑)夢や理想に向かって行くんじゃのうて夢や理想の世界の自分が導いてくれるって感じじゃ」
「未来を知らない僕じゃなくて未来を知ってる僕がどうしたら良いかを考えるんだね」
「そういうこっちゃ(笑)」
「未来の自分が過去を思い出すって感じかもしれないね(笑)」
「未来を思い出すっちゅうのも面白いのう(笑)」
 
 
「僕が未来を思い出すってどうすれば良いんだろう?」
「簡単なことじゃないけどの(笑)こんなふうに考えたらどうじゃろう?」
「どんなふうに?」
「ミノルはまだ12年しか生きちょらんじゃろう?」
「うん」
「ミノルが生まれる前を想像するんじゃ」
「難しそう(笑)」
「お爺ちゃんは生まれて70年以上過ぎちょるからのう(笑)」
「お爺ちゃんより僕のほうが生まれる前を覚えてるかもしれないって?(笑)」
「そうじゃ(笑)」
 
 
 
(130)
「思い出すと言うより想像するしかないよ(笑)」
「そうじゃのう。生まれる前に生まれたら何をしたかったのかを思い出すんじゃ」
「なんだか使命という言葉を思い出したよ」
「そうじゃのう。命が体を使ってやりたいことをやるんじゃろうのう(笑)」
「生まれた目的を果たすってこと?」
「そうじゃ」
 
 
「お爺ちゃんも使命を持って生まれたんだね」
「こうやってミノルに話をすることも使命の一つじゃろうのう(笑)」
「なんだか生まれたことに責任があるような感じだよ(笑)」
「この世に必要のないものは存在せんからのう」
「誰もが使命を持っているってこと?」
「体の細胞たちを思い出せばそういうことになるじゃろう?」
「そうだね」
 
 
「そりゃあそうと、ええ加減話したけど電話代は大丈夫かのう?」
「電話代は大丈夫だよ。かけ放題だから(笑)」
「そろそろ終わろうかのう」
「うん。また電話するね」
「それじゃの。しっかり勉強せえよ」
「わかった。お爺ちゃんも体に気をつけてね」
「健康第一じゃからのう(笑)」
「じゃあね」


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